あの日、前より少し冷たくなった手をぎゅっと握り締めて、部屋を出た。「また月曜日にね」と声をかけて手を振った。悲しい知らせを聞いたのは、その日の夜勤明けで会議のために職場に行った夕方のこと。


この仕事に就いてから、何度目だろう。その度に後悔ばかりが浮かんで、自分が情けなくて申し訳なくて、無力さを感じずにはいられない。氷が食べたいって言ってたのに、その日の朝はいつも以上に忙しくてすぐに行けなかった。やっと仕事が落ち着いたのが30分後、ごめんねと言いながら氷をあげると、とても嬉しそうに笑っていて。そんな瞬間たちがぐるぐると頭の中を巡る。


「とても安らかな顔だったよ」
先輩の言葉が心に響いて、泣きそうになる。

仕事なのだから、もっと強くならなきゃいけないのに。