本棚に収まりきらなくて家中にあふれかえる本をどうにかしたい。床に山積み。実家に帰るときとか、飛行機の待ち時間があるとつい買ってしまうので、まったくもって減らない。そして久々のヒット本に出逢った。

終末のフール (集英社文庫)


読み始めたとき、学生時代に宮部みゆきにどっぷりハマったときの感情を思い出した。全ての人間に訪れる死を「いつか」じゃなくて、隕石の落下による強制的な「数年後」と限定したところから始まる、様々な人々の物語。その中でも、一番印象深く、何度も読み返した場面。


主人公は憧れのボクサーが、ある俳優と雑誌で対談したときの記事を見つける。もちろん当時は、死は「いつか」であり、誰もが遠い未来のことだと信じて疑わなかった頃。ある俳優はボクサーに「明日死ぬって言われたらどうする?」と問いかける。そしてボクサーは答える。


「変わりませんよ」
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」