こころの中のわだかまりは、まだ溶けない。気持ちの整理もついてない。
だけどやっと、言葉にできるところまで来た。


ある夜勤の日。仮眠を取ろうとベッドに横になった午前0時半、鳴り出した携帯。
ライトの色で、すぐにあの人だとわかった。だけど壁の薄いこんな場所じゃ電話なんてできないし、仮眠時間と言っても一応は仕事中だったので、泣く泣く電話に出ず。すぐにごめんねのメールを送る。ちょっとした近況をやりとりして、あたしは眠りにつく。

その数日後、ある休みの日。風呂からあがると、あの人から着信の跡。「かけ直していい?」とメールを送ると、「仕方ないから、いいよ」との返事。そんな言い方にすら、顔が緩んでしまうくらい嬉しかった。

それから1時間半くらい、喋った。
久しぶりに聴くその声は、あたしの大好きな声で。

仕事の話をした。あの人は休みなしで毎日働いているらしい。毎日朝早く出勤して、夜遅く家に帰る生活だと。その職業柄、忙しくなることはわかっていたけど、やっぱり大変らしい。あの強い人がそう言うのだから、相当なのだと思う。あたしも仕事の悩みを話した。4月に入ってから胃が痛くなること、理不尽な上司のこと。お互い人を相手にする職業だから、内容は違ってもその根本に共感できる。

恋愛の話をした。長く付き合っても上手く行かないことの方が多い、というのはあの人の持論。付き合って1年くらいの方が、結婚に結びつきやすいって。


そんな1時間半の電話。幸せで、楽しくて、嬉しくて。
それなのに、あたしが落ちるところまで落ちた理由。

あたしが「遊びに行こうと思ってたけど、忙しいよね?」と聞くと、「うーん」となんとも煮え切らない返事。
しまいには、「○○(あの人の職業)を彼氏とか旦那にしちゃいけないよ」とまで言い放った。

そんなことを言われて、あたしが傷つかないとでも思ってるの?
正直、目の前が真っ暗になった。



「また胃が痛くなったら、メールしてよ。」
「××と話せて、元気が出たよ。」


そんな優しいこと言わないで。興味が無いなら突き放して。


電話を切ったあと、涙って枯れないんだなぁって思うくらい泣いた。
そんな気持ちで仕事をしていても、人になんて優しくできなかった。


もういい加減、ハッキリとさせなくちゃいけないんだと思う。
あの人に会って確かめようと思う。

自分の気持ちと、あの人の気持ち。
すれ違っているのか、平行線なのか、怖くて目を背けていた現実をちゃんと見よう。