例えそれが虚構だとしても、嘘に塗り固められたものだとしても、その瞬間の感情は嘘偽りなく実在している。『今』観ること、会ったことに意味があるのだと思う。仕事で失った自信は、仕事でしか取り返せない。その言葉の意味が、今なら分かる。


『私は、なんて運のない人間なんだろうって思ったの。数十年前に大きな事故にあって一人でトイレにも行けなくなって。その上明日、今度はこんな大きな手術を受けなきゃいけない。』


どうして神様は、こんなにも優しい笑顔をする人に試練を与えるのだろう。あなたなら乗り越えられるから、なんて簡単なものじゃない。その笑顔の奥にある苦しみや辛さが痛いほど伝わってきて、自分にできることは何だろうと必死に考えた。気の利いた言葉も言えなかったけど、手を握って、寄り添って話を聞いた。


もっと強く、優しくなれたら。少しでも支えになれるように。